
◻︎白髪発生のメカニズム
〜カタラーゼについて〜
<目次>
◻︎白髪が発生する仕組みとは
*メラニン生成が減少する原因とは
*カタラーゼという酵素の働き
*カラーリングが白髪発生に及ぼす弊害
◻︎対策について
*体内のカタラーゼを増やす方法
*過酸化水素を減らす方法
年齢と共に増えていく白髪。
多くの方が老化現象として発生すると理解されているかと思います。今回は、そもそも白髪とは髪にとってどういう状態なのか?という部分の説明と老化によって白髪が増えてきた時に体の中、特に髪が生えてくる大元である毛根では何が起こっているかを解説していきたいと思います。
白髪の発生する仕組みとは
白髪が発生する仕組みはいくつかありますが、主な要因はメラノサイトという細胞が関与しています。メラノサイトは毛根の周囲に存在し、メラニンと呼ばれる色素を生成します。このメラニンが髪の色を決定します。白髪が発生する主な原因の一つは、年齢とともにメラノサイトの活動が低下することです。これにより、髪の色をつくるメラニンの生成が減少し、髪が白く見えるようになります。つまり、髪の毛は元々、全て白髪であるとも言えます。
*メラニン生成が減少する原因とは
2009年にヨーロッパの科学者チームが、毛包のメラニン生成が減少する正確な原因を突き止めました。毛包でわずかな量の過酸化水素が作られ、それが時間と共に積み重なってメラノサイトを傷つける事を確認しました。
*カラタラーゼという酵素の働き
カタラーゼとは体内で活性酸素を分解する酵素で私たちが若いうちはカタラーゼの働きによって過酸化水素を水と酸素に分解することによってメラニン生成への影響を防いでいます。年齢を重ねることによって、カタラーゼの産生が減少して体内に過酸化水素が蓄積されていきます。
*カラーリングが白髪発生に及ぼす弊害
現在、一般的に使用されている2剤式のカラーリングには過酸化水素が使用されています。カラー剤の中に含まれるアルカリ剤と過酸化水素によって発生する強い酸化力でメラニン色素を分解して脱色を起こすことによって髪を明るくします。さらに、上記の酸化力によって、カラー剤の染料が酸化重合という染料同士が結合して大きくなる反応によって発色が起こります。この様に白髪染をはじめとしたカラーリングには過酸化水素が不可欠になりますが先述した通り過酸化水素の蓄積はメラニンの生成を妨げてしまう為、カラーリングが更なる白髪の増加を促すという負の連鎖を起こすリスクがありますので、カラーリング時には過酸化水素を確実に除去する対処が必要となります。ホームカラーではこういった処置が疎かになりがちですので特に注意が必要です。
◻︎対策について
それでは、加齢によるカタラーゼの減少やカラーリングによる過酸化水素の影響に対する対策はどのように行えば良いのでしょうか?一つは年齢と共に減少していく体内でのカタラーゼを補給していくこととカラーリング時に適切に過酸化水素を除去することが必要となります。
*体内のカタラーゼを増やす方法
1.ビタミンやミネラルを摂取する
ビタミンCやE、亜鉛、セレンなどの抗酸化物質を含む食品やサプリメントを摂取することで、カタラーゼの働きをサポートする事が出来ます。
2.カタラーゼを含む食品を摂取する
キノコ類:特にシイタケやエリンギなどに豊富に含まれています
キウイフルーツ
ブロッコリー
きゅうり
大根
セロリなど
3.ストレス管理
ストレスは活性酸素の生成を促進し、カタラーゼの働きを阻害します。ストレスを軽減することでカタラーゼの消費を減らす事が重要です。
4.適度な運動
適度な運動は体内の酸素供給を促進して活性酸素の生成を減少させます。これにより、カタラーゼの働きが向上します。
*過酸化水素を減らす方法
カラーリング時における過酸化水素の除去はヘアサロンで施術時に適切に行う必要があります。過酸化水素の影響を適切に理解されているサロンであれば、カタラーゼを使用した処理剤でしっかりと除去を行っているはずです。不明な場合は確認しても良いかと思います。カタラーゼを配合したヘアケア商品なども販売されていますが、カタラーゼは生きた酵素の為、酸素に触れることによって酸化して、その働きが低下してしまいます。エアレス処理がされた容器などから、使用時に都度、必要な量を使用する事が重要になります。ホームケアとして普段のシャンプーにカタラーゼを混ぜて髪を洗う事で毛包に蓄積していく過酸化水素の除去にもつながります。特にホームカラーをされる方は、この工程を取り入れて頂きたいです。適切な商品をヘアサロンでご購入して頂く事が確実かと思います。
白髪の発生には、様々な要因が関係していますので、これだけを行っていれば大丈夫という方法はありません。つまり、可能性のある要因に対して地道な対策を行っていくことが重要と言えます。