
かつて「体」は「體」と表記されていました。この字は「骨が豊かであること」を意味し、骨が健康の象徴として捉えられていたことを示しています。実際、骨は単なる体を支える構造ではなく、古来より「體(からだ)」の中心とみなされてきました。
漢方における「腎」と骨の関係
漢方では「腎」が骨の発育や維持に深く関与すると考えられています。腎は生命エネルギーの源とされ、老化現象とも直結する臓腑です。この視点からも、骨の健康がアンチエイジングに直結することが示唆されています。
骨の新しい概念 ― 内分泌臓器としての機能
近年の研究により、骨は単に「体を支える骨格」ではなく、内分泌臓器として位置づけられるようになりました。骨芽細胞から分泌される「オステオカルシン(osteocalcin)」は代表的な骨由来ホルモンであり、全身の恒常性維持や老化制御に重要な役割を果たすことが明らかになっています。
オステオカルシンの主な作用
糖代謝の調整:膵臓のβ細胞に作用し、インスリン分泌を促進する
エネルギー代謝の促進:骨格筋に作用し、糖利用や脂質代謝を高める
認知機能への影響:海馬など中枢神経に作用し、記憶力や学習能力を改善する可能性がある
生殖機能への関与:男性においてテストステロン分泌を促進することが報告されている
これらのことから、骨は全身の代謝、認知機能、生殖機能など多方面にわたって影響を及ぼす臓器であることがわかります。
骨を健康に保つためにできること
健康を維持するためには、骨に適度な刺激を与えることが大切です。難しい運動は必要ありません。例えば:
・その場で軽くジャンプする
・踵を軽く上げて落とす「踵落とし」
・椅子に座った状態で太ももをトントン叩く
こうしたシンプルな動作でも骨はしっかりと刺激を受け、オステオカルシンの分泌を促す助けになります。骨は「體」の中心であり、私たちの若さや健康を守る大切な臓器です。毎日のちょっとしたケアで骨を元気に保ち、内側からのアンチエイジングを実践してみてはいかがでしょうか。