前回の記事では「食養生の基本のき」として、体を整えるための土台となる考え方をお伝えしました。
今回はその続きとして、今日からすぐに実践できる食養生についてお話しします。
内容自体は、どこかで一度は聞いたことのある、とてもシンプルなものです。
しかし、シンプルであるがゆえに軽視されやすく、同時に最も効果的で重要な養生法でもあります。
今回、特に意識していただきたいポイントは次の3つです。
・よく噛む
・腹八分目を心がける
・ながら食事をしない
消化は「どこで」「何が」分解されるかが重要
私たちが摂る三大栄養素、タンパク質・糖質・脂質は、それぞれ消化酵素が分泌される場所が異なります。
特に糖質は、口の中で分泌される唾液に含まれるアミラーゼによって分解が始まります。
そのため、糖質の消化においては「よく噛むこと」が非常に重要になります。
噛む回数が少なく、糖質が十分に分解されないまま胃に送られると、
未消化の糖質は胃の中に長く留まりやすくなります。
例えば、
うどんは約5〜6時間
米やパンは4時間以上
胃に滞在すると言われています。
この状態が続くと、胃もたれ・胸焼け・逆流性食道炎など、胃腸トラブルの原因にもなります。
よく噛むことは血糖値対策にもなる
現代人の健康課題として、糖質過多による血糖値スパイクがよく取り上げられます。
実は、よく噛んで食べることは、血糖値の急激な上昇を抑える働きもあります。
噛む回数が増えることで、消化吸収が穏やかになり、
結果として血糖値の上昇カーブも緩やかになります。
「よく噛む」という一見当たり前の行為が、
消化・胃腸の負担軽減・血糖コントロールのすべてに関わっているのです。
ながら食事がもたらす弊害
スマートフォンを見ながら、テレビを見ながらの食事は、
無意識のうちに噛む回数を減らし、食べ過ぎを招きます。
満腹中枢が働く前に食べ終えてしまうため、
結果として胃腸に大きな負担をかけることになります。
「ながら食事をしない」というのも、
実は胃腸を守るための大切な養生法のひとつです。
江戸時代から伝わる養生の知恵
これらの養生法は、江戸時代の儒学者 貝原益軒 が著した『養生訓』の中でも繰り返し説かれています。
・よく噛むこと
・食べ過ぎないこと
・食事に集中すること
時代は変わっても、体の仕組みは変わりません。
シンプルでありながら、何百年も語り継がれてきたという事実は、
それだけ重要で、確かな効果があることを示しています。
足し算の養生と引き算の養生
サプリメントや健康食品など、「足し算の養生」も確かに有効です。
しかし今回お伝えしたような「引き算の養生」は、
お金がかからない
今日からすぐに始められる
誰にでもできる
という大きなメリットがあります。
飽食の時代だからこそ、シンプルな養生を実践することは、
実は最もハードルが高いのかもしれません。
それでも、だからこそ実践する価値があります。
ぜひ、まずは一口をよく噛むことから。
日々の食事の中に、基本の食養生を取り入れてみてください。
